「人工腎臓」と聞いたとき、皆様はどのようなイメージを抱かれたでしょうか?
形も大きさも腎臓と同じくらいで、人の腎臓とそっくり同じ働きをするもの・・・。
こんな人工腎臓をイメージされた方はありませんか?
残念ながら、今の人工腎臓は体内に埋め込まれたものではありませんし、健康な腎臓のはたらきを
全て肩代わりできる能力もありません。
しかし、十分とは言えないまでも、週3回の透析で健康な腎臓の15%相当のはたらきをし、
透析者の生命を守るパートナーとして、その役割を果たしています。反面、多くの問題も抱えています。
その一つが、ここで紹介する「透析の副作用と長期透析の合併症」です。
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| 1.透析による副作用 |
副作用の現れ方は、人によって異なりますが、ゆっくりとした透析で徐々に
体を馴らしていくことで、その症状を軽くすることができます。
原因と症状をよく理解して副作用の予防に努めましょう。
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・不均衡症候群
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透析導入期によく見られる副作用です。
透析を行うと、血液の老廃物は急速にとれてきれいになり、
老廃物がとれにくい脳との間に濃度差が生じます。
つまり、濃度の高い脳は周囲から水分を吸い取り、
むくんだ状態にあります。
不均衡症候群は、脳がむくみ、脳圧が高くなるために
起こります。
症状は、頭痛、吐き気、嘔吐などですが、ひどい場合
は意識障害や痙攣が起こります。
不均衡症候群は透析に慣れれば起こらなくなりますが、
まれに症状が継続する場合もあり、透析困難症と呼ばれて
います。
これらの予防には水分、塩分の制限を守る大切です。
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・血圧降下 |
除水が急激であったり、大量に除水された場合は血圧が低下
します。症状は、あくび、吐き気、嘔吐、頭痛、動悸、冷汗
などですが、ひどくなると胸痛、腹痛、意識障害などが
起こります。急激に血圧が下がることを「ショック」と言い
ますが、ショック症状が起きた場合には何らかの処置が必要です。
予防には、体重を増やしすぎないことが大切です。
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・穿刺部血管痛 |
穿刺針による血管壁の刺激、血管の狭窄、血管内異物の
刺激、血管炎、血管の収縮などで血管痛が起こります。
血管炎以外は温シップとマッサージで処置をしますが、
部位によって血管痛があれば、穿刺部位を変えてもらう
ことも大切です。
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・不整脈 |
心室肥大や動脈硬化のある人では、透析中に不整脈が起こる
こともあります。症状は脈が乱れ、胸がドキドキするなど
です。また、血液中のカリウム濃度が高すぎたり低すぎたり
すると不整脈が出やすくなります。
予防には、血圧のコントロール、カロリー制限
(高脂血症や肥満の予防)、カリウムの多い食品の制限、
ストレスをためないことが大切です。
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・高カリウム血症 |
高カリウム血症(カリウム中毒)は、副作用というより
恐ろしい合併症といった方が適切ですが、カリウムの含有が
高い食物を過剰に摂取すると発生しまう。
不整脈から心臓が停止して突然死の原因となることも
あります。
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・出血の助長 |
血液凝固を抑える薬剤であるヘパリンの使用により出血
(痔、生理出血、鼻血、抜歯後など)しやすくなること
にも注意しましょう。
出血の危険の少ない血液凝固阻止剤もあります。
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・その他 |
透析中に急に体を動かすと足の筋肉などがこわばったり、
突っ張ったり、痛みとして感じられたりすることがあります
ので注意しましょう。
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| 2. 長期透析で起こり得る症状 |
長期に透析をおこなっている間には、ある種の有害な物質が慢性的に影響し、
合併症として現れることがあります。
合併症を予防するための基本は、十分な透析と自己管理の徹底です。
また、合併症の多くは早期に発見することで対処できます。
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・貧血 |
造血ホルモンであるエリスロポエチンの分泌低下に加え、
尿毒素や栄養不足によって赤血球が減少して貧血が助長
されます。症状は、食欲不振、疲れやすい、動悸、息切れ、
めまいなどです。貧血はエリスロポエチンが人工的に作られ
るようになって、ほぼ改善されるようになりましたが、
予防にためには、十分な透析、十分な栄養、適切な運動が
欠かせません。
貧血が起こるしくみ
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・低血圧 |
透析年数が長くなると、透析導入期に高血圧だった方も
しだいに低血圧に移行し、透析や日常生活に支障をきたす
方も増えてきます。原因はまだよくわかっていませんが、
自律神経の機能異常、血管運動神経の障害などが疑われて
います。症状としては、起立時のめまい、倦怠感などです
が、無症状のこともあります。
体重管理を徹底し、バランスのよい食事を心がけましょう。
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・高血圧 |
透析導入期には、ほとんどの人に高血圧があります。
このうち約1割くらいの人にはなかなかコントロール
しにくい重症な高血圧をもっています。
高血圧は水分や塩分の取りすぎによって血液量が増加する
ことが原因の一つです。
水分や塩分の摂取量に注意しましょう。透析間の体重増加
は、体重の5%(50kgの人なら2.5L)以内に抑えること
が理想です。
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・肺水腫 |
定期的に透析を受けていても、透析に入る前は体内水分や
塩分が過剰となり、肺水腫を起こしやすい状態になって
います。症状は、むくみ、咳・たん、呼吸困難などです。
ひどくなると血の混ざった泡を口から吹き出し、処置が遅れ
ると死亡することもあります。
予防するには、水分、塩分、体重のコントロールが大切です。
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・心不全 |
心臓のポンプ機能が低下して体に必要な血液を送り出せない
状態を心不全といいます。症状は、むくみ、動悸、息切れ
などです。前述した肺水腫も急性の心不全ではありますが、
心筋梗塞、心筋症など心臓そのものに病気がある場合です。
また、高血圧や強い貧血、シャントの血流が多すぎるときも
心臓に負担をかけることになります。
予防には、水分・塩分の制限、体重・血圧のコントロール
必要な人もあります。
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・かゆみ |
透析中、透析後、就寝時などに痒みが増強されます。
原因は尿毒素やカルシウムが皮膚に沈着すること、
汗が出にくいこと、薬物の副作用やアレルギーなどと
されています。皮膚が乾燥していると痒みが強くなるので、
クリームを塗ることも有用ですが、かゆみ止めや精神安定剤
の内服も有効なことがあります。
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・動脈硬化 |
動脈の内側に脂肪やカルシウムがたまると、血管が狭くなり
血液が通りにくくなります。この状態を動脈硬化といいます
が、透析を行っている人では、高血圧、高脂血症、カルシウ
ム代謝異常などが重なり、動脈硬化を起こしやすくなります。
血圧をコントロールするためには水分、塩分の制限を、
高脂血症・肥満予防のためにはカロリー制限を守りましょう。
また、適切な運動、禁煙、ストレスの解消なども大切です。
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・骨への影響 |
長期透析に生じるもっとも頻度の高い症状は、骨がもろく
なったり、骨折しやすくなったり、骨・関節痛が出てくる
ことです。腎不全ではカルシウム代謝に関する活性型
ビタミンDが不足するので、骨への影響は避けられません。
これら腎不全に伴う骨疾患は腎性骨異栄養症と呼ばれて
いますが、活性型ビタミンDの内服、十分な透析、カルシウム
を多く含む食品の摂取、適度な運動を行って、治療と予防に
努めましょう。
また、高リン血症は低カルシウム血症の主要な原因の一つ
となっていますので、リンを多く含む食事の制限や
リン吸着剤による高リン血症の予防が大切です。
骨障害が起こるしくみ
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・透析
アミロイドーシス |
@ 手根管症候群
透析10年以上になると、手の親指、人差し指、中指などが
しびれたり、バネ指といって指が滑らかに伸びなくなる方が
みられます。手根管症候群と呼ばれていますが、これらの
症状は、β2―ミクログロブリンからできるアミロイド
という物質が手根部の腱や骨、関節などに沈着し、
神経などを圧迫するために起きています。
痛みやしびれは手術によって改善しますが、手首や指の屈伸
運動をして関節の動きを保つよう努めましょう。
手根管症候群の主な症状
A骨・関節症
アミロイドが骨や関節の周囲に沈着すると、骨痛、関節痛、
関節の腫れなどを症状とする骨・関節症が起こります。
骨・関節症には手首、肩関節、大腿骨などの関節の骨に
嚢胞ができて症状を引き起こす骨嚢胞関節症と、四肢の
関節だけでなく、肩や背中の痛み、手のしびれなど
脊椎症状を伴う破壊性脊椎関節症があります。
予防には、β2−ミクログロブリンを体内にためないこと
につきます。このアミロイドは、心臓や消化器など全身に
沈着することもわかり、現在、β2−ミクログロブリンを
除去する透析方法の開発が進んでいます。
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・感染症 |
透析をしている人は、一般に感染に対する抵抗力が低下して
いますので、感染症にかかる率が高くなります。
感染症としては、穿刺部から細菌が侵入して起こる
シャント感染、尿量が少ないために細菌を出せずに起こる
尿路感染、風邪をこじらせて起こる肺炎、結核菌の感染、
輸血後肝炎などがあります。
感染予防には、からだや衣類の清潔、シャント肢の消毒、
十分な透析、うがい・手洗いの励行、十分な栄養、
そして体力をつけることが大切です。
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※ 副作用や合併症は、日常注意して生活することで予防することもできます。
もしここに示したような症状が現れた場合には、早めに医師に相談しましょう。
早期に対処することが症状を重たくしないポイントです。
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