透析のはなし
腎不全と透析の知識

1.腎不全の知識
   腎臓のはたらき
   慢性腎不全とその症状
   尿毒症の症状
   尿毒症物質

2.透析のしくみ
   血液透析の方法
   ダイアライザー
   抗凝固薬
   シャント
3.透析の効果
   尿毒症症状の改善
   貧血の改善
   血圧の改善

4.日常生活の注意


1. 腎不全の知識



腎不全とは、腎臓のはたらきが落ちてからだにたまる不要な物質を十分に排泄できない状態をいいます。
透析は腎臓のはたらきを代行する治療法ですが、まず腎臓のはたらきを理解しておきましょう。






・ 腎臓のはたらき



腎臓が尿をつくる臓器であることはみなさんよくご存知ですね。腎臓に運ばれた血液は、糸球体という部分を通る間に濾過され、からだにとって不要なものは尿として排泄されます。それと同時にからだに必要なナトリウムやアミノ酸などは尿細管という部分を通る間に再吸収され血液に戻されます。つまり腎臓は老廃物の排泄、水分の調節、電解質のバランスの調節をしているわけです。
さらに腎臓はビタミンDの活性化やホルモンをつくるという重要な役割を果たしています。これは透析では肩代わりできないはたらきで、透析以外の方法で補わなければなりません。

 腎臓の構造とはたらき





・ 慢性腎不全とその症状

むくみ、高血圧、血尿などが発現することを除くと、末期に至るまで無症状に経過し、ある日突然、尿毒症症状に見舞われることも少なくありません。尿毒症は体内に老廃物や有害な物質がたまり、体内のバランスが保てなくなった状態です。

 腎臓がつくるホルモンと

  腎不全での対応






・ 尿毒症の症状

頭痛、意識障害をはじめ、むくみ、呼吸困難、貧血、嘔吐、出血、かゆみなど、からだの至るところに症状が出てきます。

 尿毒症の症状


・ 尿毒症物質

腎臓で排泄・代謝される物質の中で、尿毒症を引き起こす原因となる物質をいいます。尿素窒素(UN)、クレアチニン、カリウムなどたくさんの物質が疑われますが、尿毒症を起こす物質の正体はまだ充分に解明されてはいません。ただ、これらの物質は血液中のUNやクレアチニンの増加とほぼ平行して増えることがわかっていますので、UNやクレアチニンの値を目安に、尿毒症を引き起こす原因物質のたまり具合を推定することができます。UNやクレアチニンは本来、尿中に排泄されなければならないたんぱく質由来の不要な物質(窒素化合物)です。



2. 透析のしくみ



腎不全には、血液透析、腹膜透析、腎移植などの治療法があります。
透析は、体内にたまった尿毒症の原因物質や老廃物の排泄、血液中のナトリウム、カリウム、カルシウム
といった電解質と酸性・アルカリ性のバランスの維持、体液量の調節を代行する治療法です。



・血液透析の方法



まず、シャント手術をして静脈にたくさんの血液が流れるようにします。血液をシャントから血液ポンプを介して約200ml/分の速さで取り出し、ダイアライザーの中を通します。そこでは人工の膜でできた細い管の内を血液が、外を透析液が流れ、両者間で物質交換が行われます。つまり、不要な物質は透析液に、有用な物質は血液の中に移行し、血液がきれいになり、からだに戻っていきます。このとき、血液が固まってしまわないように抗凝固薬を使用します。また、透析液は供給装置で温度、濃度がチェックされた後、ダイアライザーへ供給されます。

 血液透析の方法


・ダイアライザー



血液と透析液が接して老廃物が除去される
部分をダイアライザーと言います。ダイアライザーは、人工の膜でできた細い管で構成されていて、その膜は腎臓の糸球体によく似た機能を果たします。
すなわち、血液と透析液が膜をはさんで物質交換するわけです。

 ダイアライザーのしくみ


・抗凝固薬



透析装置で十分な量の血液をきれいにするために、動脈と静脈を統合させてシャントをつくります。このおかげで1分間に200mlもの血液をダイアライザーに送れるのです。シャントには内シャントと外シャントがりますが、現在は内シャントが主流です



3. 透析の効果



・尿毒症症状の改善



透析を行うと、UN,クレアチニンなど、たんぱく質が分解されてできた物質をはじめとする尿毒症物質が除去されるため、尿毒症状が改善されます。体内の余分な水分も調節されるため、健康な状態を取り戻すことができます。




・貧血の改善



透析は貧血の改善にも効果があります。



・血圧の改善



からだにたまたナトリウムと水分が血圧を上昇させますが、透析で十分な除水を行うことで
高血圧を改善することができます。

透析は、腎不全の方々の生命維持とQOL(生活の質)を高めるために、なくてはならない治療法です。



4. 日常生活の注意




@十分な透析を行う

より健康的な生活を送るためには定期的な透析をきちんと受け、からだにたまった尿毒を
十分に取り除くことが大切です。


A適切な食事をとる

日常生活を快適に過ごすには、食事療法が大切です。食事の好みには個人差がありますので
塩分、水分、カリウムなどの許容範囲の目安をつかみ、おいしく食べる工夫をしましょう。


B適度な運動を心がける

健康な時と同様の社会生活を送るためには、十分な体力が必要です。体調を整え、毎日適度な
運動をするように心がけましょう。


Cシャントの管理

シャントは透析者の命綱です。日々、シャントの清潔に気を配り、シャントの状態を観察する
ことが感染や閉塞、出血の予防と早期発見につながります。


D血圧・体重は毎日測る

水分、塩分の摂取量は、血圧と体重にあらわれます。血圧計と体重計は体調を知るための必需品
といえます。


E適度な休息をとる

仕事や透析に追われ、休息を忘れがちになります。少し疲れたときには、適度な休息と十分な睡眠で、
明日の活力を再生しましょう。


F規則正しい排便を心がける

透析をしていると、水分調節がうまくできないことから、便秘になりやすい傾向があります。
便秘になると食欲も落ちますので、規則正しい排便を心がけましょう。


G感染に気をつける

透析をしている人は、一般に抵抗力が低下していますので、感染症にかかりやすい状態にあります。
食事と運動で体力をつけ、規則正しい生活をして感染予防を心がけましょう。