赤ちゃんや幼児期の包茎は基本的に気にする必要はありません。病的包茎や包皮炎・尿路感染症など医学的問題がなければ、小学生くらいまで治療せず様子を見ましょう。
ただし、第二次性徴を迎える中学生・高校生になっても包茎が改善されない場合は、治療を検討する必要があります。
ここからは、こどもの包茎を治療するタイミングや具体的な治療方法、こどもが包茎手術を受ける際の注意点について詳しく解説します。
こどもの包茎とは、おちんちんの先端の包皮口が狭く、包皮から完全に亀頭が露出されない状態です。
包皮は外から見える外板と、おちんちんの先端で内側に折り返している内板から成り立っており、こどもは折り返し部分の包皮口が狭いのが特徴です。
生まれたての赤ちゃんは包茎が正常な状態です。逆に、亀頭が包皮で覆われていない場合は、先天性のおちんちんの病気の可能性があります。
生まれてすぐは包皮と亀頭が分離していない状態です。
包皮が剥ける時期には個人差がありますが、思春期にあたる13~15歳頃まで包皮を完全に剥いて亀頭を露出できない男児が多く、思春期を過ぎると包皮が自然に剥けることがほとんどです。
そのため、思春期までの幼児期に包皮が剥けないという理由で、治療や包茎手術の必要はありません。
こどもの包茎は基本的に手術や治療の必要はありませんが、包茎についての知識を身につけて、適切に対応することが大切です。
こどもの包茎による注意点は以下のとおりです。
包皮口が狭いと、排尿時にペニスの先が風船のようにふくらむことがあります。これは、ペニスから排出された尿が、一時的に包皮内に溜まるために起こる現象です。
包皮内に溜まった尿があちこちに飛び散り、トイレを汚してしまうこともありますが、尿の出を妨げることはなく、身体に悪影響を及ぼす心配はありません。
幼児期までの男児は、亀頭包皮炎と呼ばれる炎症を起こしやすく、ペニスの先端が赤く腫れて痛みを伴います。
亀頭包皮炎は短期間の服薬や塗り薬で改善されます。炎症が軽ければ入浴だけで治まるケースも。何度も炎症を繰り返す場合以外、包茎治療は必要ありません。
こどものおちんちんの包皮の下には、恥垢(恥垢)と呼ばれる、黄色い脂肪の塊のようなものが溜まることがあります。恥垢があると、包皮と亀頭が分離して皮が剥けやすくなります。
通常、恥垢に細菌は含まれておらず、成長の過程で包皮が自然に剥けると、恥垢も自然に排出されるため、特別な処置は必要ありません。
アメリカで報告されている研究によると、生まれたときに包茎手術を受けている男児の方が、受けていない男児に比べて尿路感染のリスクが低いとされています。
ただし1歳以上で尿路感染が生じる可能性は極めて低いため、わざわざ手術を受けるメリットはないと考えられています。
包茎は主に、仮性包茎・真性包茎・カントン包茎の3種類があります。それぞれの包茎の特徴を理解することで、こどものペニスの状態を把握し、適切に対応できるでしょう。
仮性包茎とは、勃起時に亀頭が完全に露出しますが、非勃起時は包皮に覆われている状態です。
仮性包茎の場合、衛生面に注意すれば、特に治療の必要はありません。ただし、包皮口が狭く、清潔に保つのが難しい状況であれば、炎症を起こすリスクもあるため治療が必要になるケースもあります。
真性包茎は、仮性包茎と違って勃起時にも亀頭が露出しません。包皮が亀頭を覆っている状態で、包皮口が狭く手で剥くこともできない場合があります。
真性包茎は清潔に保つことが難しく、包皮炎や尿路感染症などのリスクがあるため治療が必要です。
カントン包茎は、亀頭を露出させた状態のまま包皮が元に戻らなくなった状態です。包皮口が狭いことが原因で、緊急性の高い治療が必要になるケースもあります。
亀頭への血流が妨げられて、壊死状態に陥ることもあるため、早急に医療機関を受診してください。
こどもの包茎は基本的に治療する必要はない
こどもの包茎のほとんどは治療する必要性がありません。ただし、亀頭や包皮の先端に炎症が起きる亀頭包皮炎や、包皮口が狭く風船のように包皮がふくらむ場合など、治療が必要になるケースもあります。
亀頭部だけではなく、陰茎全体が皮膚に埋もれてしまっている「埋没陰茎」の場合も医療機関を受診して医師に相談してください。
緊急を要するのは、包皮を剥いた際に元の状態に戻らず、亀頭を圧迫するカントン包茎です。
カントン包茎を6時間以上放置すると包皮や亀頭が壊死し始めるため、早急に受診する必要があります。
こどもの包茎治療は、病的包茎や繰り返し発症する包皮炎、尿路感染症など、医学的問題がある場合に検討されます。
ここからは、こどもの包茎に用いられる代表的な治療法について詳しく解説します。
手術療法
こどもの包茎手術は、「環状切開術」または「包皮口拡大術」の2種類の治療法があります。
環状切開術は、亀頭を覆っている包皮を少しだけ切り取り、先端が見える状態にします。包皮口拡大術は、狭まった包皮口を少し切開して自然に皮が剥けるようにします。
アメリカでは赤ちゃんのときに環状切開術を行うことがありますが、日本では赤ちゃんの包茎は問題ないと考えられています。手術が必要になった場合でも30分程度で終わり、術後も特別な処置は必要ありません。
手で包皮をむく治療(包皮ほんてん指導)
包皮ほんてん指導とは、手で包皮をゆっくり引っ張って亀頭を露出させる方法です。
包皮口が狭くて亀頭がスムーズに露出しない場合は、ステロイド入りの軟膏を朝晩1日2回患部に塗ります。ステロイド入りの軟膏を使うことで包皮が柔らかくなり、皮が剥けやすくなります。
包皮を剥いた後は必ず元の状態に戻しましょう。そのままにすると包皮の締め付けが強くなり、亀頭に強い痛みを感じることがあります。
こどもの包茎は何歳から治療すべき?
生まれたばかりの新生児の頃は真性包茎が普通の状態です。無理に剥くと包皮が戻らなくなる「カントン包茎」になるリスクがあります。
小学生の包茎も気にする必要はありません。身体の成長とともにペニスも成長し、亀頭の露出も少しずつ進行します。
第二次性徴で身体が大きく成長する中高生の時期は、成人と同じような体つきになり、ペニスも大きくなります。この時期になると自然に亀頭が露出するようになってきます。ただし個人差があり、身体が成長しても包茎のままというケースも。
20歳を過ぎるとペニスがサイズアップすることはないため、この時期に包茎が改善されなければ治療を検討してもよいでしょう。
こどもが包茎手術する際の注意点
手術に耐えられる体力があれば、年齢に関係なく包茎手術を受けられます。ただし、未成年者は親権者の同意や同伴が必要です。また、大切なイベントが控えている場合は、それを終えてからの手術をおすすめします。
ここからは、こどもが包茎手術する際の注意点について詳しく解説します。
手術に耐えられる体力さえあれば、年齢に関係なく包茎手術を受けられますが、未成年の場合は親権者の同意や同伴が必要です。
2022年4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、18歳以上であれば自分の意思で手術を受けられます。ただし、その場合は契約上、本人に手術費の支払い責任が発生します。
包茎手術の術後は激しい運動が禁止されるなど、生活に制限があります。
そのため、スポーツで試合に出る場合や、旅行を控えている場合は、予定を終えて手術を受けるようにしましょう。
こどもの包茎は自然に治る?
大人の包茎は自然に治ることはありませんが、子どもの場合は成長とともに包茎ではなくなる可能性もあります。ただし、仮性包茎や真性包茎のままというケースもあります。
自分で無理に皮を剥こうとすると、カントン包茎になるリスクがあるため注意してください。
仮性包茎は治療したほうがいい?
仮性包茎は、包皮を剥くことで亀頭が露出されるため、絶対に治療が必要というわけではありません。ただし、亀頭が包皮に覆われていることで不衛生な状態になりやすく、悪臭や病気を引き起こす原因になります。
また、見た目を気にして手術を検討する人も多いです。仮性包茎で治療に対する迷いがある場合は、クリニックのカウンセリングで相談してみましょう。
子供の皮を剥いたら先端が腫れたけどどうすればいい?
こどもの皮を自力で剥いて、ペニスが包皮で締め付けられて、元に戻らない状態になった場合、その状態をカントン包茎といいます。
カントン包茎を放置すると、ペニスの先端に血液が届かなくなり、腫れやうっ血が起こることも。
症状が進行するとペニスが壊死することもあり、緊急手術が必要になるケースもあります。カントン包茎になって、自分で元の状態に戻せない場合は、早めに医療機関を受診してください。カントン包茎を繰り返す場合は、包茎手術を検討しましょう。
包茎手術は保険適用される?
真性包茎とカントン包茎は、保険適用で手術を受けられます。ただし、保険適用の包茎手術は、見た目の美しさは考慮されず、機能性のみを重視される傾向にあります。
一方、自由診療の包茎手術は、費用が高額になりますが、希望するデザインをもとに、見た目にも配慮した仕上がりになるメリットがあります。
包茎が自然に解消される年齢は?
男の子の包皮は生後数年間で少しずつ緩み、4~5歳頃に自然に亀頭が露出されるようになります。個人差がありますが、ほとんどの場合、思春期に入る頃には自然に仮性包茎の状態になります。
20歳を超えると包茎が自然に改善することはほぼありません。思春期を過ぎても包皮が自然に剥けない場合は、無理に剥こうとせず、専門の医療機関を受診して相談しましょう。
自宅でできる包茎の予防とケア方法は?
自宅でできる包茎の予防とケア方法は、ペニスを清潔に保つことです。
入浴時に、可能な範囲で包皮を剥いて洗いましょう。包皮がうまく剥けない場合は、軽いステロイド入りの軟膏で包皮を広げることができます。ステロイドには男性ホルモンに似た作用があり、包皮を広げて亀頭から皮を剥がす効果が期待できます。
ただし、すべての人に当てはまるわけではなく、軟膏を塗って不衛生になると包皮炎になるリスクもあるため注意してください。
こどもの包茎手術は何歳からできる?
思春期が終わりを迎える18歳頃になっても亀頭が包皮に覆われたままで、包茎が改善されない場合は、専門のクリニックや泌尿器科を受診して相談してみましょう。20歳を超えると自然に包茎が改善されることはないため、手術が必要になるケースがあります。
18歳未満のこどもでも、真性包茎や包皮輪絞扼型包茎、カントン包茎など病的な状態であれば、医師に相談することをおすすめします。
名称 | 医療法人社団恩和会 旭川高砂台病院 |
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住所 | 〒070-8061 旭川市高砂台1丁目1番地22号 |
電話番号 | 0166-61-5700 |
FAX | 0166-61-5089 |
代表者理事長・病院長 | 横山恵一 |
開設年月日 | 昭和63年12月15日 (平成10年7月 医療法人社団 恩和会 設立) |
診療科目 | 内科/ 外科/ 整形外科/ リハビリテーション科 /透析科 |
病棟内訳 |
病棟数 104床・B棟2階 療養病床(医療療養病棟)50床 |